ラストが引っかかる
アマゾンプライムで観た映画「囚人の娘」、ドキドキハラハラ、時にジーンとしながら見ていました。(いつものようにネタバレ満載です)
評価も★4.5と高く、それも納得!と見応えのある映画だったのですが、ただひとつラストだけは納得がいきませんでした。
囚人の父親は末期癌でしたから、最後は死ぬのだろうなと予想はしていましたが、娘と和解し、孫からは慕われて、二人に見守られての穏やかな最期を想像していたのに、それが見事に裏切られたからです。
なぜかわいい孫を自分の娘と同じように「『囚人』の息子」にしてしまったのでしょう?
成り行きでそうなったのはなく、意図的に、孫の父親に「自分を殺させる」よう仕向けているように見えました。
いきなりまくしたてましたが、主な登場人物は4人。
・「囚人」だが、末期がんの為、「娘と同居」することを条件に釈放されたマックス(ブライアン・コックス)。元ボクサー。
・その娘でシングルマザーのマキシン(ケイト・ベッキンセイル)、疎遠だった父との同居を最初は拒むも、持病のある息子の薬代にも事欠いた程、経済的に困窮していた為、同居を承諾。
・マキシンの息子エズラ(クリストファー・コンベリー)、てんかんの持病があり、学校で苛められているが、健気で優しく賢い子。マキシンからマックスのことを「叔父」と紹介されるが、ほどなく「父親(自分にとっては祖父)」であることを見抜く。
・マキシンの元夫で、薬物中毒のドラマー・タイラー(タイソン・リッター)。息子のことを愛しており、性根が悪い人間ではなさそうだが、クスリのせいで自制がきかない。
他にもボクシングジムを経営している旧友やワケありの友人も出てきますが、省きます。
なぜ温厚そうな父親が、「囚人」だったのか、ハッキリとは示されず、孫との会話の中で「ボクサーだったけれど、ボクサーとしての『上』は目指さず、悪者の仲間になってしまった。」というようなことが語られるにとどまります。
頭の良い孫は、それだけである程度の事情を悟ったようでした。
てんかんの持病があるエズラは、学校で苛められることも多いのに、優しく健気な少年に育っており、祖父とも心を通わせます。
ドラマーである父親のタイラーを「カッコいい」と尊敬しており、お互いに会いたがるのですが、母親マキシンは、タイラーがヤク中であることを理由に会わせたがりません。
ついには切れたタイラーが、エズラを誘拐し・・・
マックスは野球バットを手にエズラを助けに向かいます。
バットでタイラーとその仲間を殴り倒し、孫を逃がした後、なんとマックスはそのバットをタイラーの手に渡すのです。
バットを受け取ったタイラーは、猛烈に反撃し始め、マックスを叩きのめし、殴り殺すに至ります。さすがに途中で仲間が止めに入るのですが、無駄でした。
マックスの電子足輪も叩き壊され、それによって警察が駆けつけてきますが、それも計算済みだったのでしょうか?
エズラが「囚人の息子」となってしまったこと、また、マックスを殺した犯人として収監されるタイラーの処遇(マックスは囚人たちから慕われていたので、その彼を殺した犯人がどんな目に遭うか)を考えると、ちょっとあんまりだったんじゃ、とは思いますが、見てよかったと思える映画ではありました。