ちのっぷすの海外ドラマ雑記帳

ちのっぷすが観てきた海外ドラマについて想うことあれこれ

モンキービジネスおさるのジョージの著者の大冒険

ハンス&マーガレット・レイの大冒険

徒然五行歌でちらっと「おさるのジョージ」のことを書いた数日後、U-NEXTの新規入荷作品の中にこのタイトルを見つけたので、即視聴。 

アマゾンのプライムビデオでも視聴できるようです。

当時のフィルムや写真とアニメーションを融合させ、二人の生きた時代やジョージが生まれた背景が丹念に辿られた秀作。

U-NEXTの説明文には

『おさるのジョージ』の生みの親でユダヤ人のハンス・レイとマーガレット・レイ夫妻。ナチス・ドイツの侵攻を逃れるため、自転車2台で陥落直前のパリを脱出してアメリカに移住し、生涯ジョージのキャラクターを守り続けた2人の冒険の日々を綴る。

とありました。

自転車は、夫ハンスが部品を集めて手作りしたと言いますから、多方面に何でもこなす天才肌の人だったのでしょう。

ドキュメンタリーの中に8歳の時に描いた水彩画が出てきましたが、そのまま絵本の背景に使えそうなくらい完成度の高いものでした。

夫妻に関わった多くの人のインタビューからは、二人の人柄がくっきりと浮かび上がります。

争いを好まず、おとなしく穏やかな夫と対極にあるような妻、アメリカ領事館員にも食ってかかるほど気が強く、思ったことをズバズバ言ってのけ、「社会の迷惑」とまで陰口を叩かれるほど煙たがられていた-そんな正反対の夫婦(夫はシュガー、妻はスパイスなんだとか)なのに、いえ、だからこそなのか、二人の間には強くて深い絆があったといいます。

彼らは理想の夫婦で、2つの魂は完全に通じ合っていました。何を思っているのか、お互いに知っていました。言葉にしなくてもわかったのです。

絵本は当初、夫だけの名前で出版されますが、実際は共著。夫が挿絵、妻が文章担当だったものの、その境界は曖昧だったそう。

ほのぼのとしたお話の裏には壮絶な創作活動もあったはずですが、それを微塵も感じさせない二人・・・

遠い昔、ハンスは、階段の手すりを滑り降りてきたマーガレットを見た時に、運命のようなものを感じたのかもしれません。(ハンスはその頃マーガレットの9つ上の姉と付き合っていたのだとか)

晩年、階段用の電動椅子が付いた時、大興奮して子どものようにはしゃぐ二人。そしてその電動椅子に乗って階段を降りるマーガレットの姿が、手すりを滑る幼い彼女に変わるシーン・・・何回観ても、ジーンときます。

ハンス亡きあと、マーガレットは1年近く、引きこもりがちな生活を送ったそうですが、作品を見守ることが生き甲斐になったのだといいます。

夫妻に子どもはなく、ジョージこそが二人の愛の結晶だったのでしょう。

そして・・・その ジョージ《世界的に愛されるキャラクター》に育つことを見越していたというマーガレットキャラクタービジネスの先駆けです。

一歩間違えればホローコーストの犠牲となっていたかもしれない二人でした。

おさるのジョージが生まれた背景は、時代を抜きにしては語れないのかもしれません。